北アメリカ神話 / NorthAmereca Mythology
北米ネイティブ・アメリカンたちが数千年以上も口承で語り継いできた神話は、他の多くの神話に見られる支配者による改編の痕跡はほとんどなく、「正典」のような固定化された文学形態に拘束されてはいませんでした。
彼らは大地に宿る精霊(グレート・スピリット)の「声」に耳を傾け、それらを自由に自分たちの「声」で伝えることによって、神話を語り継いでいきました。これらの神話は自由であるためひどく移ろいやすいものでしたが、同時に移ろう時の中で人の本質を伝える大切な文化的遺産だといえるでしょう。
以下、代表的な部族であるホピ族の神話を紹介します。

-ホピ族の創世神話-
最初の宇宙はトクペラ(無限宇宙)でした。トクペラには初めは創造主タイオワしか存在しませんでしたが、やがてタイワオは一つの有限を生み出します。それが創造主の甥(神話によっては息子とされている)となるソツクナングという神でした。
ソツクナングは世界を創りはじめます。
第1の世界:様々な肌の人々がいる美しい世界で、 それぞれに言葉は違っても、彼らは意思を通じ合わせることができ、また鳥や獣もまた同様で、人も獣も一つのように感じていました。
ところがある日、彼らを甘い言葉で惑わすものが現れ、いつしか創造主を敬う事を忘れ、人々はお互いに憎しみ合い戦うようになりました。そうして平和は消え去り、創造主はこの世界をやり直すため全てを火に飲み込ませました。
第2の世界:わずかに生き残った人々は、創造主によって広大な陸地を与えられ、以前の世界とは一変していたために、彼らは、かつての悪しき世界については何も思い出すことはありませんでした。
しかし、その場所は以前よりは必死で働かなければならない世界で、自然の幸に恵まれてなく、動物たちも離れてしまったために、人は自ら仕事に励み手で物を作り、食料を集め、家を建てねばなりませんでした。
けれどそのおかげで人々は勤勉に働く事を学び、急速に増えて地に満ちていきました。やがて文明が進むにつれて、交易が盛んになり物が増え人々はさらにさらにと物をほしがり、創造主を敬う気持ちを忘れてしまいました。創造主は大きな地震を起こし、大地を狂わせ海に陸地を飲み込ませました。生命なき世界は厚い氷に閉ざされてしまったのです。わずかな人々だけが精霊に従い地底に逃れ、幸せに暮らすことができました。
第3の世界:世界は長いこと氷河に覆われていましたが、地底では人々が精霊と共に幸せに暮らしていました。
そうした状況が続いていましたが、やがて創造主ソツクナングは、再び氷河に覆われた世界に新しい世界を創りはじめます。世界は温暖になり氷は溶け大地と海は姿を取り戻しました。山々に草原に樹木を生い茂らせ、あらゆる形の生命が新たに誕生しました。
こうして大地に再び人間が住むようになり、人々はその数を増やし大都市や国々、大文明を築くまでに急速に発展していきます。
しかし人々は大文明を築き上げた創造の力を邪な方へと使い始めるようになり、タイオワとソツクナングに賛美の歌を送ることを忘れていきました。知恵のある一部の人々はそんな世界の中でも声高に創造主への賛美をうたいつづけていましたが、この世界もやがてかつての世界と同様に腐敗していき、争いを繰り返すようになってしまいました。
ソツクナングは、早急に手をうたねば少数人々までも汚れてしまうと考え、精霊のクモ女に命じ葦の木を切ってその中に少数派の人々を入れ、少量の水と食料を詰めて封印してしまいます。
そうしてから、ソツクナングは洪水を引き起こし、山々より高い大波が陸地を襲い、陸という陸は破壊され海中に沈みました。こうして神を信じる少数の人々は葦の船の中にかくまわれ、大洪水の中を長い間漂い続けることになりました。
人々は昼も夜も必死に筏を漕ぎやや北寄りの東へと進んで、ついに人々は陸地を見つけます。海から高くそそり立ち、見渡す限りに広がっている。「力強い大地だ!」と知恵ある彼らは思いました。
そここそが、ソツクナングから与えられた「第4の世界」だったのです。
第4の世界:こうして新たな世界で、人々は創造主が新たな地を守るために選んだ精霊「マサウ」に出会いその指示の下、いくつかの集団に分かれて移民を始めました。
ソツクナングはマサウに後事を託し、去りました。しかし、去る前にこう告げたのです。
「この世界の名はツワカキ、つまり完全な世界だ。その理由はいずれわかるだろう。かつての世界ほど美しくも、楽でもない。高いところや低いところ、熱と寒さ、美しいところや荒れたところがある。けれども、ここにはあなた方に選びとれるすべてのものがある。
あなた方が何を選ぶかが、ついに完全なる世界を創れるか、あるいはいつの日かふたたび世界を滅ぼすかを決定する。
さあ、あなた方のどの集団も星の明かりに従うように分かれて進みなさい。星が停止した場所があなた方が定めとする地である。そして、あなた方は善霊から助けを得るために、頭頂の扉を開けたままにして、わたしが語ったことをいつも覚えておくようにしなさい」
「また会おう」と人々は呼び掛け合い、それぞれの定められた地に向かって分かれていきました。こうして人類の「第4の世界」は始まりました。

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